幸せのときめきとか、そういうのは起こらなかったです。
世界の中心地、我らが泉州地方は好天に恵まれ、絶好の洗濯日和。
思わず、布団もベランダに干しつつ、洗濯物を乾かしていました。
午後も3時を過ぎ、そろそろ取り込むかなぁ、という段で、
――バン、バン、バン。
――バン、バン、バン。
規則正しい打撃音。
どうやらご近所で布団たたき(この名称で合っているのか?)を使っている様子。
おうおう、ではウチも取り込みますかねぇ、と、ベランダに出るワタクシ。
――バン、バン、バン。
――バン、バン、バン。
向かいのマンション(2階)で、私よりやや年上のお兄さんが、
くわえタバコで、布団を叩いていらっしゃる。
――バン、バン、バン。
――バン、バスッ!!
なにやら鈍い音が。
んー、思って、お兄さんのほうを見ると。
布団たたきが、ぽっきり折れていらっしゃる。
しかも階下に落ちたのを呆然と眺めていらっしゃる。
そしてふっ、と空を仰ぐお兄さん。
「やっちゃったなぁ、オレ……」
みたいな、達観された表情。
見上げた先(5階)の私と視線が交錯する。
「見られちゃったなぁ、オレ……」
「見ちゃったなぁ、私……」
とりあえず、オトナのマナーとして、お互いに見なかったことにしました。
まあ、実際に助けようにも助けれないわけで。
でもその後こっそり見てたら、お兄さんは布団バサミ(大)で、叩きなおしてました。
きっとこれもオトナの知恵。
私も折ってしまったらそうしよう。